「宮野さんは後悔ってありますか?」
「後悔…」
俺の後悔はあの中学の時だけだな。
「…昔、宮野さんがいた中学にある少年がいたんですけど、彼、途中で転校してったんです。
何でだと思いますか?」
「何でって…」
そんなのわかるわけないだろ。
「あれじゃないのか?
親の転勤で~みたいな」
「残念、ハズレです」
即答、しかもハズレかよ。
「学校ではそういう感じで通っていたんですけど、本当の理由は彼、いじめられていたんですよ」
ドクンッと心臓が高鳴り、まるで絞めつけられているかのように痛くなる。
「大丈夫ですか?
汗、すごいですよ?」
「え…?」
ぐいっと額をぬぐうと、べっとりと汗がついていた。
いじめという言葉を聞いただけで大量の冷や汗。
これ相当重症だな…。
手の甲についた汗を見ながら、薄く笑う。
ホント、自分が情けない。
「…続きいいですか?」
「あぁ、悪い」
「…彼、転校した学校で誓ったそうです。
いじめた奴ら絶対に許さない。
復讐してやるって」
彼の昔話を聞くとあの頃の光景がよみがえって来る。
あの時と状況が似てるから?
「なぁ、もしかしてその転校していった子って…佐々木学くんか?」
違うかもと思いながらも、聞かずにはいられなかった。
「…覚えてるんですか?」
前を向いて話していた彼がこっちを見た。
そうか、やっぱりあの子の事を言っていたのか。
「あぁ、よく覚えてる。
忘れられる訳ねぇし、忘れちゃいけない。
俺はあの子に…酷いことをした。
悔やんでも悔やみきれねぇ」
俺は、俺たちはあの子の中学時代を狂わせた。
復讐したいって思うのは当然だろう。
「なぁ、お前あの子と友達なのか?
今どうしてる?
元気なのか?」
彼に近づいて質問攻めする。
すると彼は眉間にしわを寄せて険しい顔をした。
「それを知ってどうするんですか?」
声も若干さっきより低くなってる。
俺が彼をいじめてたとわかったから怒ってるのか…。
「謝りたいんだ」
「…え」
「俺は、ずっと後悔してた。
いじめてたことも、謝れなかったことも。
でも、チャンスがあるならあの子に会って直接謝りたい。
謝って許されることじゃないし、今更って思われるかもしれないけど…」
あの子は俺の顔なんて見たくないかもしれないだろうけど、一言だけでも言いたい。
”ごめん”って。
「…そうですか。
やっぱりキミは_____」


