ベタな展開には裏がある


「あー、今日も1日疲れたー」


「お疲れさまです。
どうぞ」


「あぁ、悪い」


前からビールのビンを持ってそそいでくれる新人くん。


俺たちは会社から近い居酒屋に来ていた。


「今日も疲れましたねー」


「だなー、お疲れ。
って言うか、敬語は無しだろ」


「えっと…やっぱりいきなりは難しいので、徐々に慣れていくっていうのじゃダメですか?」


苦笑いする彼に、俺はビールを飲みながらジッと見据える。


「…しょうがないな。
一か月後には敬語がなくなってるようにしてくれよ?」


俺はやれやれと笑って見せた。


そしてここから飲み会が始まる。


「お前どこ出身?」


「広島ですけど」


「違う。
県じゃなくて…」


「あぁ、そう言うことですか。
えーと、呉です。呉」


「呉?
俺と一緒じゃんか!」


「え、宮野さんも呉なんですか?」


「そうだよ。
学校は?」


「板橋小と仁田中です」


「おいおい、まさか学校まで一緒かよ…。
俺ら廊下とかですれ違ってたのかもな」


「だったら面白いですね。
まぁ、クラスが4つはあったんでお互い知らないのはしょうがないですよね」


「だなー。
俺もほとんどの奴覚えてねぇわ」


「…本当ですか?」


「え?
こんな事嘘ついてどうすんだよ」


「…ですよね」


グビッとコップに残っていたビールを飲み干す。


この時もう結構飲んでいたから気づかなかったのかもしれない。


彼の様子が少し変だったことに…。