ベタな展開には裏がある


それから月日が経ち、俺は無事高校も卒業して、今は大手企業の会社で働いている。


今までこれでもかと人に優しくしてきたが、やっぱりあの時の記憶は未だに鮮明に残ったまま。


一生あの時の過ちを背負ったまま生きていかないといけない。


はぁ、とため息をついた時、後ろから肩を軽くつつかれた。


「お疲れ様です。
大丈夫ですか?」


「ん?
あぁ、お疲れ様。
大丈夫だよ、ありがとう」


後ろを振り向くと、コーヒーの缶を2本持って眉を下げて笑っている彼の姿があった。


彼はつい最近この会社に入ってきた新人で、同い年ということもあり、俺が彼にいろいろ教える担当を務めている。


「お疲れみたいですね。
コーヒーでもどうぞ」


「ありがとう。
・・・ところでそろそろ敬語やめないか?」


貰ったコーヒーに口をつけながら笑って言う。


でも彼はいつも決まって


「いえ、宮野さんはここでは僕より先輩になる訳ですし、そういう訳には・・・」


なんて謙遜して敬語をやめようとしない。


「そんなの気にしなくていいのに。
じゃあさ、仕事場以外ならいいんだろ?
今日飲みに行こう」


「えぇ、そこでタメ口でしゃべれって言うんですか!?」


「おっ、わかってんじゃん。
どうせ終わった後暇だろ?」


「暇ですけど・・・。
・・・わかりました。
先輩の言うことには逆らえません」


「じゃあ約束な。
忘れんなよー?」


「わかってますよ。
じゃあ僕も仕事に戻るので、また」


「おう、ありがとな。
頑張れよ」


去っていく彼にヒラヒラと手を振る。


彼も小さく会釈して行ってしまった。


「さてと、残りの仕事もがんばりますかー」


貰ったコーヒーを飲み干して、またパソコンに向き直った。