【店員Asid】


「休憩入りまーす」


そう言って休憩に入る。


「よお、お疲れ」


「お疲れ」


先に休んでいた友達の彼から声をかけられる。


「ごほごほっ」


「大丈夫か?」


「うん、大丈夫。
でもちょっと咳が止まらないんだ」


「風邪か?」


「なのかなー?
あっ、そうだ。
さっきお客さんから薬貰ったんだ」


椅子に座ってポケットから、さっき貰った薬が入った瓶を取り出す。


「はぁ?
それ大丈夫な訳?」


「うーん、でも何だか優しそうな人だったし、きっと大丈夫だよ」


笑って見せて瓶から一粒取り出し、水と一緒に飲み込む。


「ふぅ。
・・・でもこれわざわざ移し替えてるのかな?
ラベルないし・・・」


「ただ単に剥がれただけじゃねぇの?」


「あぁ、そうかも」


それから特に気にすることもなく、二人でたわいもない話をして休憩が終わった時だった。


「さて、そろそろ行くか」


「そうだね」


立ち上がって歩き出そうとした瞬間、激しい吐き気が襲ってくる。


「!?」


口元を抑えてうずくまったのに気付いた友達が駆け寄って来る。


「おい、どうした!?」


「うっう・・・」


何も答えられない。


なんだこれ。


気持ち悪い。


一歩も動けない。


変な冷や汗も出てくる。


「おい、しっかりしろ!」


あぁ、もうダメだ。


「うっ、ごほっ!!」


大きな咳をしてふと手の平を見てみる。


「え・・・」


そこには血だまりがついていた。


「なん・・・だ、これ・・・」


唖然としていると、ますます吐き気が襲ってきた。


「ごほっ!ごほごほっ!」


止まらない咳にどんどん出てくる血だまり。


どうなってんだ・・・?


あぁ、なんか目の前もかすれてきた・・・。


「おい、おい!」


友達の呼ぶ声もどんどん遠のいていく。


このまま死ぬのかな・・・。