あぁ、この声は…。
誰かなんてすぐにわかる。
僕は振り返った。
そこにいたのはやっぱり、彼女だった。
血相を変えた様子で僕と同じことを聞く彼女は先生に少しづつ近づいて行く。
もう彼女の耳にも届いたらしい。
数分後、パトカーが来て、僕たちは先生の車で家まで送られた。
車の中で屋上から落ちて死んだのは勇人だと聞く。
そうか、死んだのか。
彼女は僕の隣で泣きじゃくっている。
今の彼女に何の言葉を言っても響かないだろう。
そう思ったから、僕は何も言わなかった。
僕は涙を流すこともしなかった。
だって、勇人が死んでくれて嬉しいんだから。
僕は泣くどころか、笑いたくなるのを必死に堪えていた。


