僕には好きな人がいた。
でもそんな彼女は、
「私、彼氏ができたの!」
なんて、嬉しそうな顔で言う。
「相手は?」
そう聞くと彼女は恥ずかしそうにしながらも、その口を開いた。
「あのね、勇人なんだ」
勇人…。
僕たちの幼馴染だ。
「へー、そう…なんだ。
おめでとう」
心にもないことを笑って言う。
「ありがとう!」
なのに彼女は凄く喜んでいた。
胸が痛む。
「じゃあ僕、もう帰るね…」
放課後に学校の校庭裏に呼ばれただけだから、後は帰るだけ。
勇人とも会わずにすむ…。
「うん、呼び止めてごめんね。
また明日!」
「またね」
僕は彼女から逃げるようにしてその場を離れた。
なんだ、そっか。
そっか…。
僕は彼女をずっと見てきた。
彼女の為なら何だってできた。
彼女のことが大好きだった。
でも、彼女は僕じゃなくて他の人を好きになった。
僕 は 、 失 恋 し た の か … 。
家に帰ってベッドに横になる。
どうしよう、彼女はもう人のモノになってしまった。
僕は彼女をあきらめることができるか?
いや、できない。
いきなり「はい、そうですか」で諦めることなんてできない。
でもどうすれば…。