次に目を覚ましたのは、胃の痛みだった。
知らない間に体をくの字に曲げている。
いたっーーーー!
今までに感じたことのない激痛が走る。
うーーーーーん。
ナースコールしたい。けど、こんなこと言えないよ。
「はぁはぁはぁ」
でも痛い。
思い切ってナースコールを押す。
「どうしましたか?」
という看護師さんの声。
お腹が痛いって伝えたいけど、声が出ない。
「すぐ行きますね!」
という声の本当にすぐ、扉が開いた。
「かなちゃん、お腹痛い?」
と聞かれる。
頭を上下に振って頷くことで精一杯だった。
「先生呼ぶからね。」
といい、ナースコールを押して進藤先生を呼ぶように指示する。
「どの辺かな?」
と看護師さんに言われるけど、痛くて体を伸ばせない。
すると、すぐに扉が開く。
「かなちゃん、お腹痛い?
一度足を伸ばそう。」
と進藤先生がそばに来るけど、痛くて動かせない。
「鎮静剤を」
と看護師さんに指示をすると、看護師さんがナースステーションへ向かう。
「いつから?さっきも痛かった?」
と聞かれるけど、痛みが増して、頷くこともできない。
看護師さんが持ってきた鎮静剤を打たれる。
お腹の痛みでどこにさされているかわからない。
すると、胃からまた何かが込み上げてきた。
「ゲホッ!」
それは血だった。
口の周りのシーツが真っ赤に染まり、中には、ドロッとした血もある。
すぐに看護師さんが吐いてもいいように、受け皿を口に添えてくれた。
「ゲボゲボゲボっ!」
まだまだ止まらない。
痛いに怖いし。
私、どうなっちゃうんだろう?
進藤先生は聴診と脈を急いで計っている。
そしてどこかに連絡しているようだ。
吐き終わった頃、口を拭かれ、看護師さんが背中を撫でてくれた。
少しそれで痛みが引いてきた。



