目を覚ますと、私は病室にいた。
ハッとして、窓を見ると光りが入っていた。
思い出した。
検診にきて、進藤先生が終わるのを待っていたら寝ちゃったんだ。
胸を見ると、心電図を取られていた。
私が微妙に動いたからか、機械がピーピー鳴っている。
慌てて体を起こし、機械をどうしたら止めれるのか、慌てていると、扉が開き、進藤先生が顔を出した。
「かなちゃん、おはよう。
相当疲れてたんだね。」
「進藤先生、おはようございます。
あの、この心電図は?」
「あぁ、昨日聴診したときに、心音が気になって。
検診の時の心電図も気になって、君が寝ている間に心電図を付けておいたんだ。」
「え?私、心臓が悪いんですか?」
「おそろく、心膜炎だろう。
今はまだ様子を見て、必要であれば手術が必要になる。
普通の心膜炎ならここにいる心臓外科で手術ができるんだが、一つだけ問題があるんだ。」
「何ですか?」
「君の心臓は、一回り小さい。
他の臓器は大人の臓器なのに、心臓だけ小さいんだ。
だから、手術で心臓を開いてみないと君の心臓の状態が分からない。
そんな状態だから、小児外科の医師と心臓外科のスペシャリストでないと、手術することはできないんだ。」
私は進藤先生の言っていることを自分のこととは思えなかった。
これまで二回も手術してきたけど、命は助かってきた。
だけど今回は、心臓・・・。
いままでとは違う。
それに今すぐには手術できないなんて。
「これからそのスペシャリストに連絡をするつもりだが、その前にかなちゃんの同意書が欲しい。」
もうすぐに決断しなきゃならないの?
心の準備がまだ・・・
もうこれ以上傷が増えるなんて、我慢できない。
「あの、手術しなきゃ治りませんか?
私、手術は嫌です・・・」
「何とも言えない。心臓の状態を見なきゃ分からないから。
だけど、もし進行していたら、早く手術しないとかなちゃんの心臓がもたないんだ。」
「それでも、手術はしたくないです。」
進藤先生は困り果てた顔をしてるに違いないと思ったけど、先生の顔を見ることはできなかった。
私は下を向いて黙った。
「もう少し考えてみてね。
それから・・・・・・・・・」
そのあと進藤先生が私に何か説明していたけど、全く私の耳には入ってなかった。
気づくと部屋には進藤先生の姿はなかった。
私は朝食を食べる気力もなかった。