食堂に行くと、ちょうど幸治さんも現れた。
幸治さんと一緒にいるのは、早川先生。
「いっちゃんの様子はどうだった?」
と早川先生に聞かれる。
私は、いっちゃんが散歩中、咳込むことなく、終始楽しそうにしていたことを話した。
午後からもいっちゃんのことを頼むと、幸治さんに言われた。
昼食は手軽に食べられるうどんにした。
「そんなにすこしでいいの?」
と早川先生に聞かれる。
「はい、、、あまり食欲がないんです。」
「どこか体調が悪い?」
「いえ、たまにこういうことがあるんです。」
と私が答えると、すぐさま幸治さんが、
「たまにというか、よくあるぞ。
体が疲れてる時にな。そして、食べない日が続くと熱を出して、ひどくなる時は発作が出る。」
もう、そこまで早川先生に言わなくてもいいのに。
と私が頬を膨らませてると、
「はは、佐藤先生はかなちゃんのことなら何でも知ってますね!」
と早川先生が笑っている。
知られすぎて、恐ろしいよぉ。
そういうことより、心の中を知って欲しい。
「膨れても、飯はなくならないぞ。早く食えよ。」
と言い、幸治さんが私を見ている。
そんなに見られてたら、食べにくい。
と思いながらも、食べなきゃと思い、うどんを箸に一本垂らして、口に入れた。
口に入れて噛むものの、飲み込むほどの食欲がない。
いつまでも口に入れたうどん一本を噛んでいると、
「飲み込めっ!」
と幸治さんに突っ込まれた。
うえーん。無理ぃ!
食欲が出ないんだもん。
「かな、小児科の患者が今のお前ならどうする?」
「う、、、、、食欲がなくても食べさせます。」
「どうして?」
「体力をつけないと、治るものも治らないから。」
「そうだな、はい!飲み込め!」
う、、、、ごくん。
はぁ、いつもスパルタ。
そんな調子で昼食を食べ終えた。
幸治さんも早川先生も、ご飯を食べ終えているのに、私の前から立ち去らない。
二人を待たせてると思うと、焦って、もはや味わって食事をしてるのではなく、ただ胃の中に入れてるだけって言う感じがする。
私は昼食を終えると、すでに休憩がなくなっていたので、急いでいっちゃんの部屋へ向かった。



