「……嘘だよな?」

「なんのこと? 私は優が一番だよ?」

私は、さっき気になる人ができたといったよね。

気になる人とは、りゅーちゃんこと桜井龍汰。

でも、叶わない恋。 それに、優が一番だ。

「お前、寝言で龍汰の名前を呼んでたんだよ。
俺の親友だってわかってるだろ?」

「わかってるよ……」

私はなにも思い出せない。 けど、もしそうだとしたら優に

何て言ったらいいんだろう。どうしよう。私の頭の中はその

一言でいっぱいだった。

「麻姫、龍汰のこと好きなんだろ?」

「…………」

私は静かに頷く。 どれだけ優に迷惑をかけてきたかわからない。

でも、龍汰が好きなのは本当のこと。もぅ、嘘はつけない。

「ごめん、ごめんなさい」

私は、何度も何度も優に謝った。

「謝るなよ。別れよう。」

優はそう言った。その言葉は覚悟はしていた。

私が先に裏切ったんだから。 それでも、私は頷いてしまう。

私は、ゆっくり立ち上がり優の部屋を出る。

これで、私の初恋は幕を閉じる。この雨の音とともに。