昨日の誘拐事件のあと、警察の事情聴取やらなにやらをしていたら、結局寝たのは夜中の2時半。

いつも起きる時間が6時半だから……睡眠時間は約4時間か。こりゃ今日の授業は睡眠授業決定だな。

身支度を整え、朝食が準備されている部屋に入れば、すでに親父と楓がいた。


「朔夜、遅いぞ」

「ごめん」

「お母さんにお線香あげた?」

「まだ。今からする」


部屋にある仏壇の上には母さんの遺影がある。

俺の母さんは小さい頃に病気で亡くなった。

それからはこのただっぴろい家……というか屋敷には基本俺と親父、そして楓の3人で住んでいる。

楓の両親についてはよくわからない。