慶太郎が口にした“俺が悪い”の一言に、少しだけ気が楽になったんだ。


現状を認めれば、楽になれる気がして。


追い出した両親を憎んでいた様な言い方はしていなかったのが、認めている証に聞こえたんだ。

私は諦めているつもりが、僅かな意地で、気持ちを無視していた様だ。



上がる時間になり、夏休みなのに悪いね、と口にする店長に笑顔でお疲れ様と告げた後、焼肉屋に向かう為、大きく息を吐き歩き出す。


蒸しあつ……

コンビニに寄り、お茶を一本買い、店の中のエアコンから出る冷気を恋しく思いながら早歩きで焼肉屋に着いた時。

首にじんわりかいた汗を、鬱陶しく思いながらも、駐輪場に止まってある数台のバイクの中には、見知ったバイクが止まってあり、少しだけ嬉しくなった。