むくりと。 慶太郎が起き上がる。 絡まる視線。 ゆっくりと。私の頬に手を伸ばした。 「お前は。俺を可哀想だと思うか」 真っ直ぐ向けられた視線。 私は顔をゆっくり横に振った。 「慶太郎が可哀想なら。私も可哀想になるから。可哀想だとは思ってあげられない」 私も高校生になって家を出た。 出たいなんて。 思った事すらなかったのに。 私の瞳を数秒見つめた後。慶太郎は、気が抜けた様に緩やかに口角を上げて。 「お前は。何に脅えてる」 静まり返る部屋が、慶太郎の声をよりクリアに響かせた。