私はあの日、全てを憎んでいた。
だけど
時間が経てば経つ程。自分が一人だと苦しい位に実感して。
憎しみは、悲しみに変わるのは必然だった。
「嘘吐くのを嫌うのは、兄貴から騙されてたって気付いたから。よく考えれば、偶然母さんが帰ってくる筈なんてなかったんだよ」
非現実的な話がスッと頭に入ってきて、私の思考が懸命に情景を浮かび上がらせた。
「家を後にする時。見えたのは母さんの怯えた顔と。薄ら笑いを浮かべる兄貴の顔」
――背中に嫌な汗をかいて。
嫌でもシンクロする自分の過去。
はっきり被ってはいない。
まず私は金髪でも不良でもなければ、家の中を穴だらけにはしていない。

