「目が合った時の母さんの俺を見る目が。今でも忘れられねえ」
今まで淡々と話していたのに。
僅か。ほんの僅かだけど、声が震えた。
「普通、息子に言う?“なんでいるの”って。これ程なく怯えた目、して」
自嘲的に。
フッと笑った慶太郎の声が、酷く悲しみを包んでいて。
俺が悪い、と始め口にした慶太郎は、どんな気持ちであの家に居るんだろうと思ったら。
かける言葉が見つからなくて。
話し終わったのか、沈黙が訪れた室内だけど。
今、何を言っても、偽善にしか聞こえないかもしれない、と。
もし私だったら。
膝の上に乗せた私の拳が。
無意識に強く握られていて、汗ばんでいる事に気付いた。

