「大丈夫」
そう口にして、慶太郎の背中に手を回す。
響がしてくれた様に。背中を擦る。
「違ったら、違ったでいい。バカな女だな。どんな勘違いしてんだって」
「……」
「私の妄想に付き合ってよ。慶太郎」
大丈夫、とまた呟いて。
無言のままの慶太郎の背中を軽く叩いた。
黙ったまま。
何も反応しない。
でも、緊迫した雰囲気ではないのは確か。
どれぐらいだろう。
大丈夫、大丈夫と繰り返しながら。
不意に大きな息を吐く。
そして。
私の上に覆い被さっていた体は私の隣に、ゴロリと転がった。
慶太郎の表情は、気が抜けた様な。
でも瞳は震えていなかった。

