五千円札から支払いを済ませた後、ファミレスの扉をくぐり、夏の生ぬるい空気が体にまとわりつく。
「じゃ……」
「帰んの?」
さっきのは本気じゃないだろう、と、言う意味を込めて視線を向ければ。
やっぱり無表情。
「うん……明日バイト朝からだから」
「ふーん。じゃ、送る」
そのまま歩き出した慶太郎に、嫌だとは言えず。
一歩後ろを付いていく事にした。
さっきまでセックスがどーたら言ってた男に家の前まで来てほしくない、と。
いつもの慶太郎の雰囲気なら言えるけど。
喧嘩をする前は、普通だったのに。
アイツを殴ってから、様子が違う。
でもそれを聞ける雰囲気に、慶太郎がしてくれない。
金髪の髪を靡かせ、私に歩調を合わせてくれているのか。無理に追い付かなきゃいけない程ではない事に気付いたのは、もうアパートが見えてきた頃。

