「さて。俺らの愛の巣に向かおうか」
「……」
ふざけるような口調に、呆れた表情を浮かべると、私は慶太郎を無視して家の方へ足を向けた。
「おい。今のは何か言う場所だろうがよ」
「帰るわよ~。愛の巣に」
「お。麻衣ちゃんご機嫌だねぇ」
「……ガチではないからね」
「一気に温度下げんなよ。あはは」
二人並んで夜道を歩く。
なんか変なの。
でもこれがきっと普通になるんだ。
どんなに慶太郎が優しくしてくれても。
来年には卒業してしまうんだし。
ーー私が卒業したら、また何か変わるのかな。
夜中だけあって、通り過ぎる車の数は少なくて。
徒歩県内だという事もあり、直ぐに慶太郎の家に着いた。

