「甘えても……いいんですかね?」
私の頬に、涙が伝った瞬間。
――手首を思いっきり引かれ、勢いそのまま、裸女が私の頭を抱きしめる。
その時。
カチャリ、と私の後ろで部屋の扉が開いた。
「当たり前だろ」
聞こえた声は慶太郎のもの。
「あんた達っ、聞き耳立ててんじゃないわよ!」
「分かってたくせにー」
裸女に言われ、言葉を返したのは祐也。
数人の足音が室内に入ってくるのがわかるけど、頭を抱きしめられたままだから、誰かわからない。だけど……
「もう、大丈夫だ」
「……っひ、あ、ぁ……~~っ」
頭に置かれた大きな手。
低くて、安らかに眠らせてくれる――――響の声に、私の涙腺が崩壊した。

