「私の幸せを、壊さないで。あなたは結婚して出ていくだろうけど、あの場所は、私が死ぬまで“私の居場所”なんだから」



今までで。一番冷たい声で言い放つ姿に。

私は、もう何を言っても無駄なんだと悟った。


いくら私が頑張ったって、お母さんには届かない。

でも。どうしても嫌いになれないのは。血の繋がりだろうか。


その時。
お母さんが私との距離を詰め、肩をぎゅっと掴まれた。


「あなたは、私の言う通りにしててよ。お願いよ。もう、私は泣きたくないの」


瞳が……震えている。



記憶にない筈の、恐怖した目。


私は慌てて首を縦に振り、


「良かった……」


そう安堵するお母さんに、もう何も言うまいと。