「上野さん、大丈夫?」

「はい。大丈夫です!」

「ごめんね、無理言っちゃって」

「いえ!稼げるんで!」



パン屋の店長に冗談を飛ばし、笑顔で言い放つ。





慶太郎の家には、泊まらずに帰宅。
夕方からバイトの筈が、朝からに変わってしまい、寝ずに働いている。


体は眠いと訴えるけど、頭はスッキリしていた。



だって。


あんな事言われたら。冷静ではいられない。

口は悪いし、態度も悪いし。
……ちょっとだけ優しい、響。


好きなの、かも……だって。



立ち尽くしている私達に、もう一台のバイクが角を曲がって家に近付いて来た。


慶太郎だ。