些細な喧嘩だった。
「麻衣、定規貸して」
「嫌だ。雄大部屋探してきなよ」
お母さんが夕食を作っている最中。
夏休みの宿題を片付けようと、私と雄大は食卓台で一緒にプリントとにらめっこ。
今日はチキン南蛮だ、とお母さんがタルタルソースを作っていた。
「貸してよ!」
「嫌だ!雄大すぐ無くすもん」
「いいじゃん!おかげでこの前新しい定規買えただろ!消ゴムも新しくなってるの知ってるしー」
ひょいっと。
私の筆箱から雄大が勝手に、定規を取った。
「バカ雄大!返せ!」
「わっ!麻衣、あぶな……」
――ガターン!!
雄大が椅子ごと倒れた。
「あはははは!ばーか。勝手に人の取るから……」
「雄大くん!!大丈夫?!」
私の声がかき消されるくらいの大きな声を出したのは、音に反応したお母さん。

