本当のお父さんが、「お母さん」と、嫌味っぽく言っていたから。

お母さんは、“お母さん”と呼ばれるのを嫌う。



雄大のお母さんは、雄大を生んで直ぐに亡くなったらしい。


年も近い私達が仲良くなるのは時間はかからなかった。

お母さんも、泣く事がなくなり、笑顔を沢山見せる様になり。



引っ越してきたばかりの一年は、確かに幸せだった。



籍はすぐには入れず。

本当の家族になったのは、私が小学生になった時。

でも、私の名字を変えないで欲しいと。
離婚する時、本当のお父さんのお婆ちゃん達に、唯一の孫だから、と。泣いて頼まれ。

“上野”と“原嶋”になった。


その頃から。


お母さんが、冷たくなり始めたんだ。