「母親に。酷いこと言われてた、って……」
苦しそうに話す声に、顔をあげると。
思わず言葉を失った。
裸女が……泣いていたから。
「ごめ、私が泣いちゃいけないんだけ、ど」
私はぶんぶんと顔を横に振る。
「私なら……耐えられない、よ。なのに麻衣ちゃんは……」
裸女が私の事で泣いてくれている。
人生でこんな事は初めてで。複雑な気持ちが胸に宿った。
私を想って。
それだけで、強くなれるなんてテレビや漫画だけの台詞だとばかり思っていた。
こんなにも、純粋な気持ちをぶつけられたのも。
何のメリットもなく、私を照らしてくれようとするみんな。
“申し訳ない”
ぐじぐじして、私は何を守りたかったのか。