「成功したのかどうか……全然分からないけど、言われた通りには出来ました」


膝に手を突いて、呼吸を整える。


「だったら成功したんだろう。良くやったな、菜々」


「森川さん、家まで送って行くよ。なんか、凄く疲れてるみたいだから」


二人がいてくれて良かった……。


一人だったら、家に帰るのもひと苦労だったよ。


「ありがとう……あ、校舎の照明が点けっぱなしだし、先生に帰るって言ってない」


「別に良いんじゃないか?帰る時に気付くだろ。生徒玄関のドアを開けておけば、鍵が掛かってない事も分かるし」


なんか申し訳ないような気もするけど、校舎の中に入りたくないから。


明日、怒られる事は覚悟しないとな。


「じゃあ、俺が開けてくるよ。森川さんはここにいて」


南部君が小走りで向かった生徒玄関。


それを何となく目で追うと……。







ドアの向こうに、音楽室の前で見た女子生徒の幽霊が立っていたのだ。


背を向けて、音楽室の方を指差している。


これは……二回目をやれという事なの?


だけど、もう19時19分は過ぎてるし、私は二回目をやろうとは思わないし、夜の学校に一人で来る事は絶対にないから。


そう強く決意して、私達は学校を後にした。