「いいなぁ~、『サンタさん』。

私も『サンタさん』、欲しいな~。」




由夏の『サンタさん』が『彼氏さん』に聞こえるのは、きっと私だけではないだろう。


その証拠に、隣に座っていた私の『サンタさん』が、たまらず立ち上がって逃げてしまった。




「あーあ。

日葵のサンタさん、顔赤くして逃げちゃったよぉ~。」



「えへへ~。」



「この、幸せ者めっ!!」




そういって由夏にほっぺたを引っ張られた私は、本当に幸せ者だ。






 ――― でも、私も由夏も忘れていたこと。


『サンタさんも、いつかは家に帰らなきゃいけないんだ。』ってことを。