小鳥の肩を抱いて、白魔は囁く。


「小鳥、ありがとう」


長男が生まれてから、ずっとずっと言いたかった言葉。

「僕を変えてくれたのは君だ。君と出会えて良かった。僕を選んでくれて…愛してくれて、ありがとう…」

改めて感謝されるなんて思ってもいなかった小鳥は一瞬目を見開いた。

けれどすぐに花のような微笑を浮かべる。

「白魔さん、成長しましたね」

「えっ」

「カッコイイです」

「っ!?」

珍しいことに、白魔の顔がボッと火がついたように赤くなった。

「カッコイイなんて……君の口から初めて聞いた気がする」

「そ、そうですか…?」

言ったことなかっただろうか。

心中、常々カッコイイと思っているから小鳥には初めてという気がしない。

「……ねえ、もう一回言って?」

「え…!二回は……恥ずかしいです」

「そっか…。なら」


――チュッ


不意打ちのキスが小鳥の頬に落とされる。

「更にカッコイイ男になれるよう頑張ろうかな。また君の唇からその言葉、聞きたいからさ」

そして白魔は然り気なく小鳥の手に手を重ねた。


伝わり合う互いの温もり。

命さえも重ねて、その生が終焉を迎えるまで――否、終わりが訪れたとしても、繋がった手は離れない。


(君は僕のもの)


(白魔さんは…私だけの人)


二人が抱える孤独は死んだ。










【白魔編 END】
2016/1/18