ルカの口から飛び出した聞き慣れない単語に小鳥が首を傾げる。

すると周りにいたフェオドールやカロンがザックリと説明してくれた。

「明日は闇人にとって特別な日。この地下世界に闇人だけの街を創った記念日だ」

「それを祝うのが創世祭ってわけ。楽しく騒いで遊びまくる日だぜ。あんたも来いよ」

カロンに誘われるも、即答することなく小鳥はチラリと遠くを見る。

小鳥とは離れた椅子に座り、こちらには無関心な様子で本を読んでいる静理。

小鳥の視線は無意識に彼へと移っていた。

「あの、静理さんも行きますか?」

「え?」

出し抜けに声をかけられ、静理がハッとしたように顔を上げる。

小鳥と視線が合うと、彼は困ったように視線を泳がせた。

「静理は行かないんだって。だから僕と遊ぼうよ」

静理が躊躇っている間に白魔が小鳥に近づいた。

わざわざ席を移動し、空いていた小鳥の左隣に腰掛ける。

静理の纏う空気が一瞬にしてピリピリした危険なものに変わった。

「……白魔」

唸るような低い声が静かに響く。

威嚇のつもりだろうか。

白魔は不器用な弟を鼻で笑った。