自覚があったのか、泣きそうと指摘されて静理は真っ赤になった。

恥ずかしいのか、自分の前髪をくしゃりと手で握り、小鳥から視線をそらす。

「君にそんなことを言われたら、俺はもっと欲張りになってしまうよ」

弱々しい声で、恐る恐る静理は語る。

「小鳥ちゃん、俺が前に言った言葉……自分に生きる価値を見出だせないと言ったのを、覚えているかい?」


ーー俺は、俺が生きている意味に価値を見出だせないんだ。生き甲斐も楽しみもない。心が腐ってるのかもね。日常が、全て……くだらない


闇市場に行った時のことを思い出し、小鳥は頷いた。

「はい、覚えてます」

「その……生き甲斐というやつを、俺は……君にしたい」

「えっ?」

「君のために、俺はこれからを生きたいんだ。君が俺を愛してくれるなら、それこそが俺の生きる意味になり、価値になる。君さえいてくれれば、俺はきっと……ちゃんと息ができるから」

窒息するような苦しさの中、溺れるように人を憎んだ。

それ以外に何が心の支えだったのか、静理は覚えていない。