真っ直ぐ見つめられ、少し緊張する。

小鳥はゴクリと生唾を飲み込んだ。

「俺の師匠はジプシー楽団の団長だった。師匠が死んで、楽団をまとめる団長がいなくなった今、メンバー達が次の団長にと俺の名前を挙げたらしい」

「フェオさんが…!?スゴイです!」

「……喜んでくれるのは嬉しいが……小鳥…わかっているのか?俺が団長になったら今後、ヨーロッパで暮らすことになるんだ。楽団の活動は向こうだから」

「あ…」

「そうなった場合、当然俺は君も連れて行こうと思ってる。離れるなんて…考えられない」

小鳥は美しく力強い青の瞳を見返した。

「……フェオさんはもう、決めてるんですか?行くって」

「いや…。それは君次第だ。無理強いをさせたくないから、君がどうしても嫌と言うなら…」

どうやらフェオドールは自分の意思よりも小鳥の気持ちを優先させようとしているようだ。

そのことに勘づいた小鳥は眉をひそめた。


(なんか、それは違う気がする…)


「フェオさんは…?」

「ん?」

「私のことは抜きにして、フェオさんの気持ちを聞きたいです。行きたいか、行きたくないか…」

本心を知りたい。

小鳥の強い願いを視線と言葉で感じ取ったフェオドールは徐に口を開いた。