軽口を叩きながら全員が乗り込もうとした時だった。

誰にともなくオーレリアンが尋ねた。

「でさ、誰が運転するの?」


末っ子の問い掛けにハッとする一同。


「……静理じゃない?ガソリン入れに行ったんだろ?」

ルカの発言に静理本人は苦笑い。

「まあ…ね。ただ…」

言葉を濁すようなしゃべり方にルカは首を傾げた。

「ただ?」

「スピード違反で捕まりそうになったけれど」

サラッと暴露された真実に一瞬の沈黙が訪れる。

それからフェオドールが恐る恐る口を開いた。

「……逃げ切ったのか?」

「まあ、その辺は上手くやるよ。警察から逃げるのは得意だからね」

ニッコリ笑顔で語られると逆に恐ろしい。

ルカはぶるりと身を震わせて兄達を見た。

「静理は無し!他にいないの?運転できる奴」

「俺はできない。普段使わないし。魅力ないし」

ルカと目が合ったカロンがすかさず答える。

「フェオと白魔は?あんたら運転できそうじゃん」

カロンに言われ、フェオドールはウッと言葉を詰まらせた。

「できるが……」

「僕は嫌だよ。運転なんて怠い。寝てるからさ、着いたら起こしてよ」