フェオドールは本来、一人が好きだ。

他人に邪魔されない一人の時間や空間が大好きだ。

なので積極的に誰かと一緒に過ごそうとはしない。

けれど、甘える相手、つまり恋人にだけは態度が違うようだ。


ある日、小鳥が居間のテレビを一人で見ていた時のこと。

「あ、またカロンさん出てる」

カロンが生中継の歌番組に登場していた。

「今って確かテスト中だよね。カロンさん大変だなぁ」

特に見たい番組もないのでそこにチャンネルを合わせておくと――。


ブチッ。


「え!?」

いきなりテレビが切れた。

真っ暗になった画面に唖然としていると、背後から気配が。

ビクリとして振り向くと、そこにはテレビのリモコンを握ったフェオドールが無表情で立っていた。


「フェオさん…いつの間に…」


いつ部屋に入って来たのだろう。

しかもリモコンまで持っている。