連れて来られたのは、校舎の中の教室を利用した喫茶店だった。
懐かしい雰囲気の教室の窓や入り口に、生徒手作りの可愛らしい飾りが施してある。
「いらっしゃいませー。あ、何だ倭人ジャン?」
出迎えてくれたのは……
こないだ黒猫とカリンちゃんと一緒に居た男の子??
茶色い髪をいかにもヤンチャそうにあちこちお洒落にピンで止めてある。ふわふわの茶色い毛並みが一部だけトラネコのシマみたいになってる。
白いシャツに腰からの長いエプロン。バーでバイトしていたときを思い出した。
イマ風の…いかにも“イケメン”と言う言葉がしっくりくるトラネコくんがこのかっこをしてると女のお客さんが増えそう…
「…友達?」倭人の影からおずおずと顔を出すと、
「倭人…この人が…!?」
トラネコくんがにんまり笑って口に手をやる。
「そー。俺の彼女で朝都サン」
黒猫は恥ずかしそうに言ってトラネコくんから顔を逸らす。
「噂通り!可愛いジャン!!」
トラネコくんは興味津々で私の周りをうろうろ。
可愛い…って言われたことにびっくりして目を開いたまま私は硬直。
「あんま俺の彼女をじろじろ見ないでよ。朝都、こっちは亮太。
俺の親友気取りなヤツ」
黒猫は照れ隠しなのだろうか、顔にまたも薄桃色を浮かべてリョウタくんを紹介してくれた。
「親友気取りってな~!幼稚園からの幼馴染にひでぇな!」
リョウタくんはぷりぷり。でもすぐに
「こんな冷たいヤツやめて俺にしない?」
とにこにこ私を覗き込んでくる。
そんなリョウタくんから私を隠すように前に立ちはだかった黒猫は
「朝都気ぃつけろよ。こいつすぐ女の人に告る癖があるんだ」
「何だよ。人をタラシみたいに言うなよな~」
とリョウタくんは黒猫の肩に手を回して首を絞めるフリをする。
「やめろっつぅの。てかギブギブ!」
はたから見てると、猫二匹がじゃれあってるようにしか見えないケド
幼稚園からの幼馴染だと言う二人は、それすらも楽しそうで―――
何だかとっても微笑ましかった。



