「まぁ照れるってのも若い証拠っすよ。俺も照れてみたいな~」
にこやかに言って腰を上げる溝口さん。
溝口さんは軽そうに見えて―――時々凄く大人な顔を見せる。
(まぁ実際私より年齢は上なんだけど)
「照れてみたいっす」
さりげに涼子を見て、
「照れてみれば?」と、涼子は冷たい。
やっぱり溝口さんは軽いな(苦笑)
私が涼子と溝口さん二人を送り出して五分も経たないうちに制服に着替えて髪もセットし直した黒猫が現れた。
ひょこっと突然背後から現れたから私はびっくり。
「タバコやめるんじゃないっすか。おねーさん」
軽く額をはたかれて、私はおでこをさすさす。
「ちょっと……気分転換に…」
黒猫一人……そのことにちょっとほっとする。
カリンちゃんも連れてきたらどうしようかと思ってたケド。
さっき彼女と紹介してもらえなかった不機嫌を押し隠して、カリンちゃんは黒猫にとってどういう存在なのか不安を押し隠し、私はただ無心でタバコを吸っていたのだ。
「意思がよえー大人だな」
黒猫が意地悪そうに目を細めて、でもタバコを吸う女は別に嫌いじゃないみたい。
私は今まで一度も黒猫に「タバコやめて」と言われたことないし。
タバコを吸う理由は―――
あんたが不安にさせるからでしょうが、
とその一言が言い出せない私。
5歳も年下の男の子に不安になるとか―――かっこわるすぎ。
「どこから回る?」
私は何でもないように案内図のちらしを広げた。
「あー、その前に会わせたいヤツが居るんだけど、ちょっといい?」
会わせたいヤツ……ってのがどういう人なのか気になったけど、
「いいよ」
それだけ答えるのが精一杯。



