「来てくれたんだ」
黒猫がちょっとはにかむように薄く笑った。
タオルを巻いてるからかな。額が露わになっていていつもちょっと隠れ気味のキリリとした眉や吊り上がりぎみの大きな目がいつもよりはっきりと分かった。
いつも可愛い顔の黒猫は、こうやって見るとやっぱり男らしい…
意味もなくドキリと心臓が波打つ。
「あ、うん。涼子とこちらは溝口さん」
私が溝口さんを紹介すると、
「はじめまして~♪」
溝口さんは相変わらず軽い調子で挨拶をした。
「あ、はじめまして。こないだはマウスのストラップありがとうございました」
とぎこちなく黒猫が返す。
「ねぇ…倭人ちゃん……この人たちは…?マウスのストラップってあの??」
とカリンちゃんがちょっと表情を曇らせて黒猫の袖をまたもちょっと引っ張った。
「あー、この人は俺の……」
黒猫が言いかけたとき、
「何なに!?財津の…!」
と後方にわらわらと黒猫と同じ体操着姿の男子や、カリンちゃんと同じような浴衣を着た女子達が興味深そうに集まってきた。
わ
急に集まってきて、私は思わず引き腰。
黒猫はそっぽを向いて、
「どーだっていいだろ。ってか客待たせてんだろ。早く作れよ」
とそっけなく答える。
何よ。
―――私を“彼女”だって紹介してくれないの?



