―――文化祭当日
私は涼子と溝口さんを引き連れて黒猫の高校の文化祭に来ていた。
正門玄関には、生徒たちの手作りだろう色のきれいなアーチが飾ってあって、それをくぐると、たくさんの人で溢れていた。
黒猫の高校ってはじめて。
ちょっときんちょー。
と言う意味でドキドキしながら、案内図を覗き込む。
黒猫のクラスは外のグラウンドで焼きそばを売るって言ってた。
ちゃんと居る時間帯も聞いてるから、それに合わせて来たわけだけど…
「さっすが高校生。空気がフレッシュての??」
「青春て感じすっね~懐かし~」
そうなのよね…
一般公開のためのお客さんも居るけどやっぱり高校生が多い。
グラウンドに組み立てた黒猫の焼きそば屋さんのテントを見つけると、ちょっとほっ。
体操着にジャージ姿。黒い髪はタオルで巻かれていて、鉄板の近くで熱そうにフライ返しを操っている。
「やま……」
声を掛けようと思って手を上げると、
「倭人ちゃん、焼きそば追加注文。できてる?」
ピンクの浴衣姿の女の子が黒猫に近づいて、黒猫の半そで体操着の袖を引っ張った。
“倭人ちゃん”―――……
私の知らない呼び方で黒猫を呼んだその女の子は、こないだ電車で見かけたあの美少女に―――違いなかった。
私は上げた手を宙ぶらりんにして、その場で固まってしまった。
「あー、できてんよ。ってか果凛、引っ張ンな」
ちょっと迷惑そうに顔をしかめて、それでもすぐに顔に笑みを浮かべる黒猫。
カリン―――……名前まで可愛らしい。
ピンクの浴衣もすごく似合ってるし。
誰―――……?黒猫の友達……?
黒猫が前を向こうとしたときに、ばっちり目が合ってしまった。
「朝都」
名前を呼ばれて、びくっとその場で硬直してしまった私。
嬉しいけど、何だか心の中でもやもやと黒いものが渦巻いていた。



