くっついて眠れるとか……



それは女として?それとも飼い主として?


色々疑問だったけれど



そんなに無邪気に笑われたら、後者な気がするじゃん。


いいもん。私黒猫の飼い主でも。


ネコを抱っこして眠ったらあったかいもん。



そんなことを考えていると、


いつの間にか私たちの距離は10cmほどに縮まっていた。


歩くと手と手が触れるぐらい。


てかあれ?手……?


いつも黒猫はポケットに手を突っ込んでいるのに、今日は出ている。


「手が暇だな~」


なんてぼやいて前を向いている黒猫。


だけどすぐに私を見下ろして、またもそっけなく


「手が暇してる」


とぽつりと漏らす。


何よ、それ。駆け引き……?にしちゃ可愛すぎる。


「はいはい。あんたは私が手を握ってないと余所見してどっか行っちゃうからね。


私が手を繋いでてやるわよ」


素直になれなくてそっけなく言って、それでも遠慮がちに黒猫の大きな手に手を伸ばすと、




「俺、こう見えて人間の雄なんだよね~」




そう言って指を絡ませてきた。


あったかい手。


ネコのぷにぷにの肉球じゃなくて、




それは骨ばった“男”の手をしていた。