って、騙される方も騙される方だけど。


黒猫は無邪気な仔猫だと思ってたら、意地悪な“男”だった。


いっつもそう。突然予告もなしにネコから“男”に変わるんだから。


それでもドキドキと煩い心臓を宥めながら黒猫からそっと離れると、


黒猫のふわふわの髪が私の額を撫でていき、長い睫が私の肌をくすぐった。


お日さまの香りをすぐ間近で感じたかと思うと、



チュ



黒猫の柔らかい唇が私の頬に軽い口付けを落とし、


すすっとお日さまの香りが離れていった。


ほ…ほっぺにチュー!?びっくりしてキスされたところを手で撫でると、


「今日はこれぐらいで勘弁してやらぁ」


黒猫は背けた顔を僅かに赤くして天井を見上げている。


あ……照れてる。


何なの。


悲しそうな演技してチューをせがんできたくせに、意地悪な男であっさり白状したかと思ったら、


また無邪気にほっぺにチューとか。


ネコ、男、ネコ……



黒猫はまるでメリーゴーランドのようにくるくるとその姿を変えていく。


でもやっぱり




こいつは“男”だ。


「朝都とチューしたかったから」


子供だと思ってたのに、大人顔負けの駆け引きをしてくるし、



でも無邪気な




可愛い男。