「スルメあるよ。スルメ。もっと食べる?それかツナ缶も」
照れ隠しでわざと明るくスルメを勧めると、黒猫も緊張を解いたように頬を緩めた。
「ツナ缶の方がいー」
トン
肩が触れて、私たちの距離はゼロcm。
あんなにも痛かった胃のキリキリがまるでウソのように凪いでいって、私の中は穏やかだった。
気が抜けたって言うのかな…
急に眠気が……
―――
その晩、夢を見た。
私の寝ているベッドに、私が眠っているすぐ隣で黒いネコが丸まって眠っているのを。
黒いふわふわの前脚を私の手に置いて、安心しきったように眠る
黒いネコ。
ニャ~
時折甘い鳴き声をあげながら、すりよってきて
私は可愛いネコを抱き寄せた。
「どうしたの……倭人?寒い?」
私は飼いネコの名前を呼ぶ。
首の後ろをちょっと撫でると、
ネコは気持ち良さそうに喉をごろごろ言わせて、また眠りに入る。
その隣で私も
ぐっすりと眠った。



