―――


すっかり陽が暮れて、ビーカーの中の枝豆も空になった。


(ついでにビールも)


時間は夜の八時だ。


「明日もお互い学校だし、行くか」


と先に切り出したのは黒猫。


ぴったりと詰めた距離は変わらないのに、キスをするどころか手も繋がない


しかも枝豆を食べると言う変なデートは終わりを告げようとしていた。


「……うん」


何となく名残惜しいような……


すぐに離れたくないような…


「ごめん…一服だけしていっていい?」


変な口実を付けて私は肩からさがった斜めがけのバッグからタバコの箱を取り出そうとした。


黒猫は「いいよ」とだけ答える。


何思っちゃってんの、私。


『離れたくない』なんて、今まで付き合った男にも抱かなかった感情。


淡々としてた、って言っていいぐらい。


やっぱり私は女としてちょっと変なのかな。って思ってたのに。


だって中身おっさんだし??


―――ずっと思ってたのに。


でも私は想っている。







離れたくない







って。