研究室は違うけど、学部も学年も一緒で結構仲が良い友達だった。
バットに試験管やら、ビーカーを入れてかちゃかちゃ鳴らしながら、それらの実験用具を運んでいる。
「高校生?朝都って弟いたっけ~?」
女の子たちは明るく笑うと、黒猫がちょっとだけ友達に頭を下げた。
「この子は……」
私の飼いネ……じゃなくて…生徒…と言おうと思ったけれど、
黒猫がちょっとだけ私のパーカーの裾を引っ張ったのに気付いて、
私はその言葉を飲み込んだ。
「この子、私の彼氏」
「「…………」」
友達は立ち止まって、目をぱちぱち。
何言っちゃってんの私。
バイオハザード、セーフティーレベル2ってとこだ。
自ら実験室に飛び込みたい。
「うっそ!朝都に高校生の彼氏!?何々、今度詳しく聞かせてよ~」
と女の子たちはわくわく。
聞かない方がいいと思う。何せ私はバイオハザードの表示がくっついている危険な女だから。
そしてごめん、黒猫。勝手なこといって。
「ごめん、ちょっと急いでるからまた」女の子たちに手を振って、
「行こ」私はそそくさと黒猫を促した。
黒猫も大人しくついてくる。
でもその横顔に淡い笑みが浮かんでいた。



