「俺があげたクマ。お腹開かれてない?
俺が遊びに行ったらワタが飛び出てたりして」
「む。まさか!そんなことしないわよ。
あのクマちゃんを毎日抱っこして一緒に寝るつもりだもん」
思わず目を吊り上げてぷいと顔を背けると、
「マジで。
クマになりてー」
黒猫はペンを握ったまま、ノートの隅っこテディベアの絵を落書き。
その顔がまたちょっと赤くなってた。
クマの代わりに…黒猫が私と添い寝してくれたら、私……
ダメよ!
またもバイオハザードウィルス繁殖させてどーするの!
今はお勉強!
「ネコの次はクマ??どんどん人間離れしてんじゃない。
ほら、落書きしてないで、次の問題」
私が注意すると
「はーい」黒猫は大人しく問題集に取り掛かった。
しばらく真面目に取り組んでいたけれど、途中机に置かれた黒猫のケータイが鳴った。
白いマウスがバイブの振動で揺れている。
サブディスプレイに
“着信:果凛”
と流れているのを見て、私は目を開いた。
「電話出てもいいわよ?ついでだからちょっと休憩しよ」
そう言うと
「わりー」そう言って黒猫はケータイを開いた。



