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「湿布くさっ!朝都、貼ってンの?」
黒猫のお勉強日だったことを忘れてなきゃもっと対策があったけれど、思い出したのはつい三十分前だったし、何もできず↓↓
「違う。マスクドホルムに囲まれてたから」
さすがに…ロシアン葵ちゃんの雑誌を見るために溝口さんの車に居た、
そいでもって偶然とは言え、浩一の研究室に収めるお手伝いをした、とは言い出せないけど…
「ますくどほるむ?」
「ホルマリンと同じ意味よ」
「ああ、朝都が好きなカエルとか瓶詰めにして漬けるヤツ」
「そうそう、それ。標本作るみたいよ…って……私別にカエルが好きなわけじゃないわよ」
ちょと睨むと
「好きじゃないの?」
…………
「―――好きです…」
ちくしょう、黒猫め。
私の好みを熟知してるだけある。
でもカエルのホルマリン漬けが好きな女を好きで居てくれる黒猫も、変わってると思うよ。
「俺とどっちが好き?」
ふいに聞かれて、私は思わず目をまばたいた。
カエルと比べる対象か??
「あ、あんたの方が……好き」
照れくさくてちょっと小声で答えると
「そっか~、でも俺をホルマリン漬けにしないでね」
と黒猫が嬉しそうに笑う。
それを見ると…
私、やっぱり倭人の傍に居たいよ。この先もずっと。
そう思えた。
でも生意気な黒猫をホルマリン漬けにしたら大人しくていいかもね。
「あの量ならできるかも」
「マジかよ」



