「私と溝口さんが?二人で?」
私は溝口さんと自分を交互に指差し。
「違いますって。朝都さんと黒猫くん。涼子さんと俺で四人で。
ダブルデート的な」
「え……?」
「旅行ですからね、一泊ぐらいで。
もちろん朝都さんと黒猫くん。涼子さんと俺って言う部屋割りで。
俺、黒猫くんと二人きりの部屋なんてイヤっスから」
まぁ、それは黒猫も嫌がりそうだけどネ。
旅行かぁ。考えたことなかった。
でも私も就職しちゃったらあんまり旅行とか行けなくなるだろうし。
それもいいかも。
「温泉で、露天風呂付きの部屋なんてどうスか??」
溝口さんがまたもニヤっと笑って私の腕を小突く。
ろ…露天風呂付きのお部屋だとぉ!?
く、黒猫と一緒にお風呂!?
『あーもぉ!倭人暴れないの!!』
ダメだ。
黒いネコと一緒にお風呂入ってる姿しか想像できない。
ネコって水が嫌いって言うしね。
……て、ちっがーーーーう!!!
黒猫はネコじゃなくて人間の♂
またもバイオハザードウィルスに支配されそうになって私は慌てて頭を振った。
二日酔いの残りかな。
頭がぼんやりしてきて顔が熱くなる。
ううん、これは二日酔いなんかじゃなくて……
「聞いてみます」
黒猫と旅行……
行きたい。



