「ここに……ここに載ってるのがその元カノなんです」
私はさっきロシアン葵ちゃんが映ってたページを開いて溝口さんに見せた。
「この子が……?へー、こりゃまたすっげぇ美少女スね。
黒猫くん面食い??生意気だな」
溝口さんはロシアン葵ちゃんの写真を眺めて頷いた。
「溝口さんだって人のこと言えないじゃないですか。美人の涼子に一目ぼれしたくせに。
ライバル会社の女の営業も美人だったし」
恨みがましく言ってやると
「あ。あはは~」と溝口さんは苦笑いで頭の後ろに手をやり雑誌に集中するフリ。
「なになに?葵 瑞乃ちゃん、高校二年生。趣味はバイオリン。
美少女なうえにお嬢様か」
アオイ ミズノ―――…?
葵って名前じゃなかったんだ!
「好きな男性のタイプはネコみたいな人って…顔がってこと??
てかこれ……黒猫くんのこと?」
さすがに溝口さんも目を開いて雑誌を凝視。
私も思わず息を飲み込んだ。
ロシアン葵ちゃん―――もしかして…まだ黒猫のこと
好きなの………?



