私は目を開きながら女子高生の持っていた雑誌のページを凝視。
「朝都?」
涼子が怪訝そうに聞いてきて、私は慌てて女子高生から視線を逸らした。
女子高生たちは気味悪そうに私の行動に目を細めて、慌てて顔を背ける。
「行こっ。涼子」
私は涼子の手をとり、結局何も買わずコンビニを飛び出した。
あの雑誌に映っていたのは間違いなくロシアン葵ちゃんだった。
名前まで確認していないけど、あの顔間違えるわけない。
“街中の輝く女子高生をキャッチ”
って名前の読者モデルコーナーの一角。
ブラウンのロングカーデに白いカットソー。短いパンツに茶色いウェスタンブーツ。
手にはバイオリンのケースを持ったロシアン葵ちゃんが照れくさそうに笑顔を浮かべている。
コーナーの中でも特に大きく飾られてたロシアン葵ちゃん。
誇らしげで、可愛くて、世間で認められる美少女で。
黒猫の元カノ―――
ズキリ、と心臓が鳴る。
どうして…
どうして黒猫の周りにはカリンちゃんと言い、ロシアン葵ちゃんと言い
美少女ばかりがいるんだろう。
コンビニの自動ドアに映った自分の姿。
ジーンズにパーカー。使い古したスニーカー。
歳だって離れてるし、
何だか
自分のかっこが惨めで恥ずかしい。
しかも“月刊、人体の不思議”も買い忘れた……↓↓