私たちは近くの公園に落ち着くことになった。


大学の近くの、はじめて黒猫とデートしたあの大きな公園とは規模も全然違って本当にちっさな公園。


古びたベンチが一つと、ブランコが二つ。シーソーと隅の方に子供が遊ぶ砂場だけ。


その遊具を頼りなげな街灯が照らし出してる。


私たちはベンチに腰掛け


黒猫はおもむろに持ってきた紙袋を私に突き出した。


「何?」


「お土産」


黒猫から紙袋を受け取って中を覗くと、ふわふわしたクマのぬいぐるみが出てきた。


それと


ワンカップ大関!?


「あんた……私を何だと思ってる」


思わず黒猫を半目で見上げると、黒猫は


「好きだろ?そーゆう系」と返してくる。


「好きだけどー」


彼女にワンカップ大関プレゼントする??


でもありがたくいただくわよ?


私はカップの蓋を開けて、クマをしげしげ。


結構な大きさで首にブルーのリボンが巻いてある。


「どうしたのこれ?高そう…」


「安心して?クレーンゲームで取ったやつだから。


500円。一回で掛かってラッキ~」


黒猫は真顔でピースサイン。


クレーンゲームで??意外な特技?


「普段は行かないけどさ、今日たまたま亮太が暇だから遊び行こうって。


あいつ最近大人しいの。


今付き合ってるやつもいないみたいだし」


トラネコくん…私が言ったことちゃんと守ってるみたいだな。


カリンちゃんが好きだったら女の子と遊ばないって。


「でさー、それ取れたから……仲直りに…ってか喧嘩してないけど、


でも喧嘩みたいになってンじゃん?」


黒猫が私の手からクマを取り上げて顔を隠す。





「ゴメンナサイ。俺、ガキみたいで


酷いこと言ったかも」