「凄い勢いだね、おねーさん」


黒猫は苦笑。


だって……





嬉しかったから。


会いにきてくれて。




「が、外出禁止じゃないの?」


ちょっと心配になって聞いてみると、


「ペルシャ砂糖さんが行方不明らしい。親父は俺の監視どころじゃないし


その隙に脱走してきた」


「脱走…てね…


あ、そだ。ペルシャ砂糖さんならうちに居るわよ?」


「へ?朝都んちに?まさかのペルシャ砂糖さんも脱走?」


黒猫が中を覗き込むと、



「ヤッホ~黒猫くん♪二回目!☆覚えてる??私のこと?」

「黒猫くんだ~♪何、朝都に会いに来たの?あんたらラブラブねぇ」

「倭人くん……」



溝口おねーさまと涼子、ペルシャ砂糖さんが興味深そうに顔を出して


黒猫は益々混乱したように大きな目をぱちぱち。


「これは…どうゆう状況?」


「なんか成り行きでね」


と私は苦笑。


「可愛い男子大歓迎☆おねーさんたちと楽しもう♪」


と溝口おねーさまは黒猫を誘ったけど、


「随分ステキな集まりだけど、今日はやめとく」


黒猫はおねーさまがたの勢いに押されて若干引き腰。


「ごめん。大した用じゃなかったんだ。


ちょっと顔を見たかっただけだし」


黒猫は恥ずかしそうに顔を逸らして視線を泳がせる。



ちょっと顔を見たかった―――……?



「また連絡するよ」


立ち去ろうとする黒猫の腕を思わず掴んだ。


後ろを振り返って




「ごめん。私、倭人とお散歩してくるから。



勝手にやってて」





「お散歩だって♪キャ~♪やらしぃ」三人の黄色い声が聞こえたけれど、


何がやらしいんだ、酔っ払いたちめ。


バタン


私は無理やり扉を閉じて、黒猫の手を掴んだまま歩き出した。