雨の音を聞きながら黒猫に抱っこされてうとうと…


はっ!となって目が覚めて


恐る恐る顔を上げると、黒猫はお昼寝してなくて目をぱっちり開けて


私をじっと見つめていた。


その顔に笑顔は


ない。


「…ごめん、ちょっと寝てた」


私、無神経過ぎるよ。いくら黒猫の肌が心地よかったからって…


ん??



「てかあんた…何で上を着てないの!」


黒猫のすべすべ引き締まった上半身を目に入れて、私は慌てて顔を逸らした。


「濡れてて寒かったから脱いだだけ。


下はさすがに脱げないし…てか脱いでいいの?」


そう聞かれて私はぶんぶん首を横に振った。


「じゃ、大人しく寝てなよ」


と言って私に布団をかぶせる。



むぎゅ


布団を押し付けられて私は息苦しさから逃れるためちょっと顔を出すと、黒猫が私の顔にすりよってくる。


「おやすみ、ご主人さま」


小さく言って目を閉じる黒猫。


「…う、うん」


私は黒猫の奇行に目をぱちぱち。


まぁ、ネコだから??


私に彼の行動なんて予想できなくて。


でも擦り寄ってくる可愛いネコの頭をちょっと撫でると、黒猫は「ふっ」とくすぐったそうに身をよじり、それでも私から離れていこうとはしない。






「渡さないよ?」





目を閉じていたからてっきり寝たかと思ったけど、黒猫は私に顔を摺り寄せたままもう一言。





「こーいちさんには渡さない。



他の男の匂い移してくんなよ、バカ朝都」





またも五歳年下の彼氏にバカ呼ばわりされた。


でも今回ばかりは



私、バカかも―――