入り口でにこにこ突っ立っていたのは、



「何だ、浩一か」


ちょっとがっかり。ま、考えてみれば高校生の黒猫が大学の研究室に来るって発想の方がおかしいけどね。


まぁあいつどこにでもふらっと行きそうだし?ありえないこともないだろうけど。


「何だって、なんだよ」浩一は口を尖らせる。


ってか何でみんなここの研究室に集まる。


暇人か??


そんな考えをよそに、浩一はマイペースにコンビニのビニール袋をがさがさ。


「菓子の差し入れ。ツナマヨ味のポテチだって!」


何がおかしいのか浩一は明るく笑いながらそのポテトチップスの袋をテーブルに乗せる。


いつもなら


「ここで食べないで」と冷たくあしらっているのに


ツナマヨ味、ってとこに反応する。


黒猫、好きそうだな。


って、私……何でもかんでも黒猫に結びつけるのどうよ。


「どーせ今日は集中できそうにないし?諦めてお菓子でも食べてリラックスしなよ」


と涼子が立ち上がり、私のマグカップにコーヒーを注ぎいれてくれる。


研究室の予算で買った、やっすいインスタントコーヒーだけど、でも涼子の言う通りコーヒーでも飲めば気分転換になるだろう。


「俺の分も頼む」と浩一は帰る気配ゼロだし。


「じゃ俺の分もお願いします」とちゃっかり後輩くんも便乗している。


まぁ


気が合う(?)連中とくだらない話でもしてれば、気分転換になるよ。


いっとき黒猫のことを考えなくてすむよ。